土曜日、お友達と新国立劇場にオペラを観に行ってきました。「ラ・ボエーム」 有名だし、いいお話なんだろうな~。なんて軽い気持ちで観に行きましたが、涙、涙、涙。
とても、面白かったです。 ~あらすじ~ 第一幕 舞台は1830年頃のクリスマスイブの夜。パリの屋根裏部屋で、貧乏な芸術家たちが共同生活をしています。彼らはボエーム(ボヘミアン)お金もなく、薪も食べ物もありませんが、何故か楽しそう。自由に未来の自分を信じて生きています。詩人のロドルフォと絵描きのマルチェッロはロドルフォの作品を暖炉にくべて暖を取ります。そこへ、音楽家のショナールと哲学者のコッリーネがやってきて、ショナールの稼ぎで街へ食事に出かけることになります。ロドルフォは一つ原稿を仕上げてから出かけると仲間に伝え、原稿を書いていると、同じアパートのお針子のミミが、ローソクの火を貸して欲しいと現れます。二人は出会い、恋に落ちてしまいます。 二人は暗闇の中で一緒に鍵を探し、手が触れ合います。ロドルフォが「冷たい手を」ミミが「私の名はミミ」と歌い、互いの紹介をするのですが、歌詞が素晴らしいのです。ミミの歌は「バラとユリを育てています」「バラの優しい香り」「でも、私の刺繍する花には香りがないの」等の言葉の入った歌詞なのですが、ミミもロドルフォと同じ屋根裏部屋の住人です。貧しい生活のはずです。ユリもバラも、ふるさとから持ってきた小さな鉢植えなんだろうな、と想像してしまいました。 第二幕 二人は一緒に仲間を追いかけて街に繰り出します。クリスマスイブの街は大賑わい。仲間たちで楽しくやっていると、マルチェッロの元恋人ムゼッタが、年寄りのパトロンと現れます。マルチェッロは無視していますがムゼッタは違いました。足が痛いと、赤いペチコートを見せびらかせパトロンには靴を買いに行かせ、マルチェッロによりを戻そうとやって来ます。そして、さんざん飲み食いした代金までもパトロンの勘定に追加して、ボエームたちは兵隊のパレードにまぎれてその場を去るのでした。 第三幕 季節は雪のシンシンと降る冬です。あのクリスマスイブの直ぐ後なのか?何年か後なのかは分かりませんが、ミミは結核にかかっています。雪の中ミミはマルチェッロを訪ねて居酒屋へとやって来ます。マルチェッロは店の看板の絵を描き、ムゼッタは歌を教えながら二人でここで暮らしているのです。ミミはロドルフォと屋根裏部屋に住んで居るのですが、最近、ロドルフォが自分に辛く当たることを訴えます。ロドルフォもこの店に来ていて、ミミのいる外へでてきたので、マルチェッロはミミに帰るように言いますが、ミミは隠れて二人の会話を聞いていました。ロドルフォは本当はミミの病気を直してあげる経済力がないので、ミミと別れたいと思っていた事が分かってしまいます。嫌われていたわけではないと、分かったミミは別れることに同意はするのですが、こんな寒い季節には別れたくないと言い、春になったら、別れると約束し和解します。そんな二人と裏腹に、マルチェッロとムゼッタは罵り合います。夫でもないのにでかい顔をするな!浮気者!へび!ひきがえる!魔女!と、悪口を言い合い二人は別れてしまいます。 第四幕 ミミと別れたロドルフォ。彼はマルチェッロたちと、屋根裏部屋で相変わらずの生活です。ミミはお金持ちのパトロンを見つけ、出て行ったあと。マルチェッロもムゼッタと別れたので、また二人で暮らしているのです。 そこへ、また、コッリーネとショナールの二人もやってきて、四人でふざけていると、ムゼッタがミミを連れてやってきます。ミミは既に瀕死の状態で、最後にロドルフォに会いたくて、やって来るのです。マルチェッロとムゼッタは医師を探しに出かけ、コッリーネとショナールも二人を気遣い席を外します。二人きりになったロドルフォとミミは出会ったばかりの時の思い出を語り合います。手が冷たいと寒がるミミに、ムゼッタが買ってきたマフをロドルフォからのプレゼントだよと、渡します。コッリーネもトレードマークの古い外套を売り医者の支払いのためにお金を作って帰ってきます。みんなに囲まれて、ミミは眠るように死んでしまうのです。ロドルフォのミミを呼ぶ声が屋根裏部屋に響くのでした。おしまい。 今の人達から見たら、ただの純愛物語なのです。私も初めはそう思いました。でも、ミミがお針子で、その当時のお針子の立場を考えると、これは一言で純愛という事には出来ない事がわかりました。この頃のお針子は、地方から出て来た若い娘が多く、勿論、洋服を作る職業人なのですが、それ以外に、娼婦でもなく、良家の子女でもなく、おおっぴらに援助交際の出来る相手、という側面もあったのです。服装も小奇麗で、若く可愛いお針子娘は、学生やいい所の坊っちゃんが結婚前にちょっと遊ぶ相手。真面目に結婚まで考えてくれる相手に巡り会うのは難しかったかもしれません。なので、見方によっては、ロドルフォとの出会いもミミが仕組んだ事かもしれないし、ロドルフォも初めから火遊びの恋だつたのかもしれません。そうすると、全然純愛じゃなくなってしまうのですか、私には、「人間だもの、色々間違いもあるし、思い通りに行かないよ。でも、人を愛したその気持ちは決して嘘じゃないし、誰でもこんな若者たちの時がありましたよね?」って言われているような、人間讃歌の舞台にみえたのでした。 歌も素晴らしく心にしみて、満足なオペラ鑑賞ができました!
by usakichi71
| 2016-11-30 07:50
| おでかけ
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