別に実在の人物でも無く、観ている人、一人一人が違うカルメン像を思い描くのです。私はこう感じた!といい合うのが楽しいのよと、娘に言いました。 そして、今回の私の感想を書いていこうと思います。 まず、感じたのはドン・ホセの頼りなさ。 不器用で真面目な青年。恋敵になる闘牛士はカルメンの愛は半年と保たないと分かりきった上でカルメンに迫りますが、ドン・ホセは変わらない愛を求めています。不器用で真面目な人間なら、それは簡単な事かもしれないけれど、器用で変化を恐れない人間には変わることの無い愛の方が偽りに見えるのでしょう。 そして、カルメンの自由奔放だけど、ある意味正直な強い生き方。 カルメンは冒頭から「恋は野の鳥」と歌います。自由である事がカルメンには一番重要なのです。 でも、自分になびかない男なんて居ない!と自信もあり、真面目なドン・ホセに花を投げ誘惑するのです。 ドン・ホセの故郷には彼に相応しいミカエラと言う質素なしっかりした婚約者がおり、彼の母からの遣いで、彼の元に手紙を届けにやってきたりもするのです。ドン・ホセはミカエラと会うとミカエラが好きだ!と思い、だからこそ、カルメンには目もくれまいと思っていたのです。なのに…不器用で田舎者のドン・ホセは艶やかな花のようなカルメンに誘われると、全てを忘れてしまいます。騒ぎを起こして逮捕されたカルメンの逃亡を助けて2カ月も牢屋に入れられますが、牢屋を出ると真っ先にカルメンのところへ行ってしまうのです。ドン・ホセが来るとカルメンは、一緒に遠くへ行きましょうと誘います。もちろんドン・ホセはそんなことは望んでいません。ただ、美しいカルメンに愛してもらいたいだけなのに、カルメンはドン・ホセに全てを捨てて自分と来るように迫ります。 そして、その通りに全てを捨ててドン・ホセはカルメンと一緒に密輸団の一員として山賊のような生活に落ちぶれて行くのですが、カルメンの愛はそう長くは続かないのです。 一度は瀕死だという母の元に戻ったドン・ホセですが、再び、カルメンの元に舞い戻ります。 カルメンは愛については嘘をつきません。もう離れてしまった心は二度と戻らないのです。 占いで死のカードを出し、自分が死ぬかもしれないと、分かっていても、カルメンは恐れません。 そして、悲劇…。 ドン・ホセはなぜ、カルメンを諦めて田舎に帰らないのでしょう?それじゃ話にならないからなのは当たり前ですが、諦められずに悲劇になる、と言うのが普遍的に起こることだからなのでしょうか。 多かれ少なかれ、男は女に振り回され苦い思い出があり、女は離れた心は取り返しがつかないと知っている。ここまで派手では無いけどね…。 だからこそ、カルメンはいつまでも愛される作品なのかな? 音楽もとても素敵です。冒頭から次々と聞いたことのある音楽なので、娘は「これも、これも、カルメンの曲なんだ!」と驚いていましたし、フルートなどの管楽器の調べが印象的で、とても面白かったです。 歌の方は、タバコ工場の女工たちの歌う歌など、綺麗な歌がたくさんで、とにかく全編、楽しめました。ミカエラ役の砂川涼子さんはとても素晴らしかった!主役の二人と闘牛士役の方は外国の人なのです。私は初心者なので何とも言えないのですが、迫力、風格、演技、と、言う点では日本人では負けてしまうのかな? 今回もとても楽しめたオペラ鑑賞。 来月は「蝶々夫人」を観に行きます。 蛇足ですが、私は不器用な人間なので愛は変わらないと信じたい人です。
by usakichi71
| 2017-01-26 06:54
| おでかけ
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Comments(2)
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desire_san at 2017-02-02 12:39
こんにちは、
私もオペラ『カルメン』を見てきましたので、詳しい鑑賞レポートを読ませていただき、『カルメン』の舞台の感動が甦って来ました。カルメンは魔性の女ではありますが、自由を尊重する生活スタイルに絶対の信念を持って生きており、自分の人生に決して妥協せず、自分を愛しているホセを捨てて逃げたりせず、危険を覚悟でホセと向き合うある種の誠実さともいえる魅力を感じました。 私はオペラ『カルメン』の舞台を観て、このオペラの音楽的な魅力を中心にレポートしてみました。読んでいただけると嬉しいです。ご意見・ご感想などコメントをいただけると感謝いたします。トラツクバックも歓迎です。
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usakichi71 at 2017-02-05 20:51
desire_sanさん、コメントありがとうございます。オペラ初心者の私の感想を読んでいただきありがとうございました。
私もdesire_sanさんのブログを読ませていただきました。オペラは私には高価ですが、舞台も音楽も楽しめるので、これからも時々観に行きたいと思っています。
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