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椿姫 〜愛があればいいのか…?~

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先週の木曜日の夜、仕事帰りに新国立劇場でオペラ「椿姫」を観てきました。昔、オペラのレーザーディスク(古い)を持っている友達がビデオにダビングした物を貸してくれて、何度も観ていたたのと、自分でもCDを買ってきいていたので、あらすじも曲も、よく知っていましたが、劇場で観るのは初めてでした。
でも、今回、椿姫を観に来る年代は若い人が多くカップルもたくさん居るので、面白いな〜と思いました。私の大好きな映画で「月の輝く夜に」と言うのがありますが、その中で出会った中年カップルも二人で初デートにオペラに行きます。演目はラ・ボエームですが、椿姫もデートにピッタリな演目かも…。最近は、日本でもそんなデートが増えているのかな〜。素敵ですね。

そして舞台ですが、演出がとても素敵でした。
オーケストラピットまで張り出した鏡のように反射する床、大きなシャンデリア、がユラユラと夢のような華やかな舞台を作り上げます。
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あらすじ

第1幕 高級娼婦のヴィオレッタ。パトロンたちがつぎ込んだお金でパリで享楽的な暮らしを楽しんでいます。でも、実は結核にかかっているのです。そんなヴィオレッタのサロンにプロヴァンス地方出身の青年アルフレードがやってきて、1年前から恋焦がれていたと告白します。ヴィオレッタは椿の花を渡すと、この花が萎れたら逢いに来てと伝えます。情熱的で真摯なアルフレードに魅かれる気持ちもあるヴィオレッタですが、娼婦という自分の身を考えると自虐的な気分になってしまうのでした…。

第2幕 ヴィオレッタとアルフレードは二人でパリの郊外で暮らし始めています。でも、世間知らずのアルフレードは生活するにはお金がいることすら解っていません、そのためヴィオレッタは自分の財産を売り払っては生活費を捻出していたのです。それでもヴィオレッタはアルフレードを愛し、二人の暮らしを守りたいと考えていましたが、アルフレードの留守中にアルフレードの父がやってきます。そしてヴィオレッタに、あなたのせいでアルフレードの妹の縁談が壊れかかっていると言い、別れを強要します。
自分の過去に負い目のあるヴィオレッタは理由を告げずにアルフレードの元を離れ、再び高級娼婦へと戻ってしまうのでした。そして、そんな事情を知らないアルフレードは舞踏会の夜、公衆の面前でヴィオレッタに札束を投げつけ侮辱します。

第3幕 ヴィオレッタはアルフレードと別れてからすぐに結核が悪化し、瀕死の状態になっています。でも、アルフレードの父からの手紙が届き、アルフレードにすべて打ち明けたことや、近々謝罪に訪問することが書かれていたので、そのことだけが生きる希望になっていました。謝肉祭の仮装行列の賑わいが聞こえてきました…、と突然音楽が沸き、アルフレードと父が訪問します。歓喜するヴィオレッタ…教会に行きたいと服を着ようとしますが、その力も残っていません…。
舞台はヴィオレッタの朦朧とした意識を表すように大きな布で遮断されています。愛するアルフレードの姿もはっきりとは見えていないのです。そして、ヴィオレッタは手にした椿の花をポタッと、落とします。そしてヴィオレッタの言葉が…

「痛みがなくなったわ、体中に力が湧いてきた、私、生きられるのね!」

この最後のセリフ。これはヴィオレッタが奇跡的に回復する兆しなのか?死後の世界に飛び立つ際の喜びの言葉なのか?
私には、ちょっとしたホラーのように感じてびっくりしてしましました。

アルフレードを愛していたヴィオレッタ。ヴィオレッタを愛していたアルフレード。ヴィオレッタは他の人には狡い女になれたのに、アルフレードには狡い女になれなかった。だから死ぬことになってしまったのでしょうが、過去が彼女を地面に引っ張って羽ばたくことが出来なかった…。
そして、何の暗い過去も無く、生活力の無いお坊ちゃま君のアルフレード。人を疑うことを知らない若者はヴィオレッタの行動に何の疑問も持たずに裏切られたと信じてしまう…。
愛はあっても幸せになれない二人でした。





by usakichi71 | 2017-11-23 21:57 | おでかけ | Comments(0)
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